企業レポート 株式会社 萬徳萬会館

今回企業訪問させていただいたのは、燕商工会議所青年部の例会や理事会の会場として大いに活用させて頂いている萬(よろず)会館様。

同社の取締役常務で青年部メンバーでもある宇佐美昌幸さんは、新型コロナ禍で先がなかなか見通せない厳しい状況の中、青年部でのご縁や培った経験を力に「萬会館」の新しい可能性を模索して挑戦を続けています。

宇佐美さんに広報委員会チームDがお話を伺いました。

萬会館 宇佐美取締役常務

●萬会館の生い立ち

創業は旧吉田地区で餅屋から始まり、昌幸さんの曾祖父が昭和20年代に魚屋を開業、祖父が魚屋とともに吉田上町に仕出し屋を始められました。その後、燕市白山町にも宴会場を建て、現在では社長であるお父様が吉田浜首町の萬会館吉田店、昌幸さんが白山町の萬会館燕店と二つある会館を親子でそれぞれ切り盛りしています。

昭和50年代からは結婚式の需要がぐんぐんと伸び、今でも60代、70代の方々が「俺は昔ここで結婚式をあげた」と誇らしげに話されるように、当時、萬会館で結婚式を挙げることは最先端を行っていました。それから徐々に大規模な宴会へと事業のメインが移って行き、近年では仕出し弁当も行っています。

●こだわり

仕出し料理に定評のある同社は食材へのこだわりも強く、取材でもツバメファーム様の卵を使った「玉子焼き」を出して頂きました。ふわふわの食感、濃厚な旨みとやさしい甘みに「おおぉ~、これはもはやスイーツ!」と我々取材メンバーも感動。時代やお客様の好みの変化に合わせて、焼き方、配合などを工夫し、他にないものを作っているそうです。

左が通常、右がツバメファームの卵、双方おいしいものの違いは歴然

そのほかにも脂の乗ったキングサーモンを自家製味噌ダレで仕込んだ「鮭の味噌漬け」も好評で、家庭でも簡単にプロの味が再現できるようパッケージされた商品を販売しています。

ご家庭でも味わえる特製「鮭の味噌漬け」(HPより)

●青年部について

「燕商工会議所青年部に入会したのが26才の頃。
生まれて初めて燕で働くことになったが知り合いも友人もいない、街のどこに何があるかもわからない中、株式会社青芳の青柳社長から誘ってもらったのがきっかけだった。入会してから20年弱になるが、いろいろなタイミングで数え切れないほどのご縁を頂いている。自身にとって青年部に入っているのといないのとではとても大きな違いがあると感じている」

「令和2年3月からInstagramでの発信も始めたが、より直接的な販路拡大に繋がるよう1ヶ月ほど前に自分でホームページを開設した。これには同じ青年部のメンバーで はらだ人事労務事務所 の原田さんのアドバイスが大きかった。また原田さんの豊富な専門知識をお借りして新型コロナ対策における各種申請などもいろいろと手伝ってもらっている。
ここでも【ご縁】と【タイミング】の大切さを感じている」

「また、玉子焼きで使うツバメファーム様の卵にたどり着いたのも実は青年部メンバーとの繋がりから。青年部で頂いたご縁がここへ来て経営や商品へとさらに広がりを見せていると感じている」

「青年部活動の中で、いろいろなメンバーから刺激を受けるが、特に同世代のメンバーの中には社長になっている人が増え、経営者としての意識、仕事に対する考え方、取り組み方は大変勉強になっている」

普段はなかなか聞けない話も

●県連について

「県連(新潟県商工会議所青年部連合会)への出向は今年度で9回目。燕にとどまらず、外に出ていろいろな人と話したり話を伺ったりと様々な交流を通していい経験を積ませていただいていると感じている。また新潟県内のみならず、全国にいる青年部の仲間らと知り合えたことは自身の財産となっている」

「県連活動も充実させたいと思い仕事の仕方を変えた。社員に任せられる仕事は思い切って任せたことで、社員だけでもできる仕事が増え組織として成長したと感じているし、社員の仕事の仕方が参考になることも多いと喜んでいる」

取材する広報委員会チームD

●新型コロナ禍の中で

「あらゆる業種を直撃した新型コロナウイルスで、3月、4月に入っていた予約がすべてキャンセルという非常に厳しい状況に陥り、本当にやることがなかった。その時に仕事の根本は何なのかを原点に立ち返って考えた。
そこであらためてお客様と社員の喜びを自身の根本に据えて経営を考えるようになった」

「経営者である自分が落ち込んでいたら社員に伝わる。こんな状況だからこそ社員と一緒に笑えるようにしている。何気ない会話も含めてコミュニケーションがより密になり、より協力して働けるようになっている」

取材時間はあっという間でした

「新型コロナでいろいろなものが変わったが、その中で何を一番大切にするのかを考えさせられた。企業にとって売上も大切だが、お客様を大切にすること、社員を大切にすることは大前提。そのためにも今は感染予防や対策をしっかりして、お客様に安心して来て頂ける環境を作ることに注力している」

「新型コロナで宴会が消えて半年。十分な感染対策のもと開催された青年部の9月例会・卒業式が半年ぶりの大きい宴会だった。この仕事が来てくれたことは本当にありがたく、感慨深いものを感じた。本心としてはこういった宴会をメインにやりたいが、ご注文が宴会から折詰へと移行している今、【お客様に喜んで頂くこと】を変わらず大事にしていく。また、売り方を変えるなど、さらに先の段階を見据えた取り組みも進めている」

「今は、社名の意味をあらためて考えている最中。これまでも先代らの魚屋に始まり、仕出し、婚礼と「よろず」を世の中の流れに合わせて変化させてきた。これからも「よろず」があり続けるよう、「よろず」として何ができるかを考えていく。やりたいことはたくさんある」

●取材を終えて

青年部歴も長く、普段は一歩引いた位置から全体の議論を温かく見守ることの多い宇佐美さん。穏やかな語り口から紡がれる言葉の確かさに青年部への思いとこの難局を乗り切るという意思の強さを感じました。ありがとうございました。

企業情報 COMPANY

株式会社 萬徳萬会館

(ばんとくよろずかいかん) 宴会、仏事、慶事にご利用いただける他、お弁当・折り詰めの出前や自家製の鮭の味噌漬けや玉子焼きの販売も行っている。 住所:〒959-1251 新潟県燕市白山町3丁目22-22 電話番号:0256-64-4371 FAX番号:0256-64-3177 E-mail:the463@mist.ocn.ne.jp 定休日:元旦、その他不定休