企業レポート 有限会社矢島精工
こんにちは。 青年部広報委員会チームB取材班の松原です。今回は青年部メンバーの会社にお邪魔してきました。
令和2年度 会員拡大委員会の委員長を務める添田昌宏くんのところ。
矢島精工さんは、戦前に東京で始業した歴史ある会社で、空襲で焼けてしまい、止むを得ず燕市に移り機械加工業をスタートしたという経緯だそう。
昌宏くん曰く『創業70年くらいですかね~何年に創めたのか正確には誰も教えてくれないんで分からないんですよ~
ははは』と陽気に答えてくれた。
昌宏くんがおもむろに冷蔵庫から取り出した飲み物を我々取材班はいただいた。
まさかの、いや安定の良寛コーヒー。
旨い。旨いがなぜなんだ。
という言葉を乳飲料と共に飲み込んだ取材班は、昌宏くんにインタビューをはじめたのだった。
専務である昌宏くんは現在31歳で、お父様が3代目社長。社長には『お前の思った通りにやってくれ』
『これからはお前が決めた方がいい』と、すでに社内では決定権がある。
お母様、お姉様、叔母様や叔父様らと親族で経営しているそうで、難しい面もあるが、ある意味気を使わなくて良いですよ。ときさくに話してくれた。
お母様の旧姓が矢島でお父様が添田ということで、『まぁ父は、マスオさんですよね』と話し、
『じゃ~昌宏くんはタラちゃんだね』という言葉も珈琲で飲み込んでおいた。
スタッフさんは50代のベテラン~20代の若手で、若手に技術を継承しつつ力になって欲しいと考えているそう。
『若いスタッフの採用に工夫したことは?』という質問に対して、『いかにモチベーションを上げてあげられるか、
例えば、若者ウケするように作業着をかっこよくしてみたりとか、良いお兄ちゃんになって話を聞いてあげるだけでも良いと思います』と答えた。
鋳物(いもの)加工と各種金属加工を得意とする矢島精工様。
予備知識のない取材班の松原は、“鋳物”とは何なのだ??
という素人ならではの素朴な疑問があった。
そもそも鍛造(たんぞう)と鋳造(ちゅうぞう)はどう違うのだ??
鍛 造 | 鋳 造 |
金型で圧縮することで成型する。 | 溶かして液状にした金属を型に流し込み、 冷やし固める。 |
なるほど、鋳物とはこのような金属をいうのか。 そして矢島精工様はこの鋳物の切削加工に特化した会社なのであった。大型の機械から、精密機器、なかなかお目にかかれないレアな機械までずらり。昌宏くん曰く見学者には“the 工場”と言われるそうだが、まさにその通り。その一部をご覧いただこう。
中央の機械は、手動の切削機。かなりの年代物だ。こちらは現在では相当な“レアもの”らしく、
売ってくれとの声もある。現在ではメンテできる人も少ないらしい。
切削機械や工具類を用いて、素材を切ったり削ったりして成形するわけだが、特徴としては
・複雑な形状の加工ができる
・高精度な加工ができる
・多品種少量生産に対応できる
・ほとんどの金属に適用できる ということだそうだ。
そして最大のポイントとなるのは、上記をなるべくコストを下げて量産するための技術である。通常の機械加工では難しい複雑な形状に対応するため専用“治具”なるものを製作することができるのが大きな強み。これにより工程数を削減し、段取りに要する時間の短縮化。結果として大幅なコストの削減に繋がる。よい鋳物製品を量産する前提として、専用治具の製作は不可欠だとのこと。
お客様との強力なパートナーシップを結べるのはこのような技術の裏付けがあった。
整理整頓が行き届いている工場内だが、コロナウイルスの影響で仕事量が落ちてしまったから、ちょうどいい機会と思って機械のメンテや工場内の清掃をしたのだという。
何事もポジティブにとらえる昌宏くんは、『社内外で凹むことはあります。めちゃくちゃ落ち込むときはありますよ。でも一日落ち込んだらやめようと決めています。他の会社も同じような悩みはありますから、過去にも苦労したというのはもちろんあると思いますが、今は思い出せません。困難な経験をして、雇用調整助成金なども活用しながら今を耐えれば、この経験が次回の解決策になると思っております』と笑顔を見せた。
令和2年度の会員拡大委員会の方針について
『3月に顔合わせや飲み会を企画していたができませんでした。そんな中でも、副会長、副委員長とは連絡を取り合っていました。5月にようやくZoomで顔合わせできました。
Zoomで話し合いはしましたが、まだまだこれからといったところです。
コロナの影響で、会員拡大活動にも支障はありました。入ってくれる寸前の人も何名かいましたが、それも難しいという回答もあり、来年に繋がる何かを残したいというところです。
今まで会員の拡大は毎年白紙の状態からのスタートでした。候補者にどんな人がいるのか全く共有されていない状態でしたから、まずはそこの改善がネックではないかという話し合いをしました。現在はリストの作成に着手しているところです。
リストは、誰にどこまで声をかけているか、2重に声掛けしないように、どのくらい見込があるのか。など一目でわかるような工夫を考えています。すべてはこれからに繋がる活動を心がけていて、準備だけはしっかりして、入っていただいた新入会員さんのフォローもこれまでとは違った方法を検討しています』
『こちらも、紹介はできるけどその後、仕事の関係でなかなかフォローができないという方も
いるはずです。そのためにサポーターをつける仕組みなども話し合っています。
青年部は、経営者としての力をつける場所だと思っています。経営の勉強は自社にいただけではなかなか見えない部分や、身に付きにくいこともあります。それを色々な勉強会や講演や例会等で力をつけていける良い環境だなと思っています。
自分も紹介で青年部に入りましたが、実際入ってみて、100人の組織の中でどのように物事が決まるのか。執行部会、理事会ではどんな話をするのか。企画がどのように進行するのかなど、とても勉強になっています。なので、若い人にぜひ入っていただきたいですね、20代前半の方もいますが、35歳以下がかなり少ないです。燕は、たくさんの経営者と携われる良い環境だと思いますので、今からできる会員拡大活動をしたいと思います』
最後にエピソード
『小さい頃から、会社で遊んでいて物心ついた時にはいつかは自分が継ぐんだろうな』と感じていたそう。高校を卒業して5年~10年は別会社での修業の予定でしたが、自社の都合で3年間後には入社。この間、修業先の親方には“お前はいずれ経営者になるのだからもっと頑張りなさい。普通の人と同じことをしてもだめなんだ。○○の今の気持ちを忘れるな”など経営者として色々なことを教えてもらいました。貴重な経験でしたね』
『いやぁでも、入ってから騙されましたわ~!!ははは』
取材班『いや、騙されたんかい 笑』飲み込もうとした心の声が思わず漏れた。
親父さんとの2ショットは十数年ぶりだと少し照れた様子でしたが、いい写真をいただきました。
矢島精工様、ご協力ありがとうございました。