企業レポート 杭州飯店

「うんめぇラーメン食って満腹になると、人って笑顔になるんさ」

皆様こんにちは、燕商工会議所青年部広報委員会チームCです。

今回の企業レポートは、ミシュランガイド新潟版にも紹介された有名ラーメン店「杭州飯店」様にお邪魔しました。

3代目社長:徐直幸さんから、心が満腹になるお話をお聞きしてきましたYO(^^)/。

チームC:初めまして。早速ですがお店やラーメンの歴史を教えてください?

3代目:中国人である初代の祖父が、前身である福来亭を開店したのは昭和7年頃。当初、店は屋台でした。火力の弱い屋台では今のラーメンとは全く別物だったそう。翌年に燕駅前穀町に店舗を構えます。それから2代目の父親が中華料理店として今の住所に店舗を拡大してオープンしたんだよ。実はここの店は2階と3階があって、宴会も出来るんですよ。大広間の3階では何度か結婚式もやったらしい。でも多くのお客さんは変わらず中華を注文される(笑)。時代の流れもあって背脂ラーメンが人気になったんだよね。

チームC:いつ頃、今の有名な背脂スープと極太麺のラーメンが誕生したんですか?

3代目:初代の頃に、お客様に満腹なってもらいたくて、どんどん味や具材が変わっていったらしい。背脂は、高度経済成長期に出前が増え、冷めないように始めたって通説があるけど、古いお客さんの話では昭和10年には入ってたって言うんだよ! なんでも肉屋の軒先に廃棄用の背脂があって、捨てるなら貰ってラーメンに入れてしまおう。食料困難な戦前だよ、ちょっとでもお客さんの腹の足しになれば良い! 中国には古くからスープに油を入れた料理があったから、ラーメンに入れても美味しいだろうって。

チームC:えーーー、背脂ってそんな昔から入ってたんですか(‘Д’)。麺はいつ頃から今の太さになったんですか??

3代目:最初はお客さんに満腹になってもらおうって祖父が考え太くなったんだよ。そして何十杯の出前でも、美味しくて温かいラーメン! 燕の職人さんに喜んでもらえるラーメン!って試行錯誤した結果、ドンドン太くなって今の麺が出来上がった。

チームC:本当に燕地域と共に歩んだ歴史ですね。

3代目:そうだね。燕市で創業していなかったら、今の杭州飯店は無い!断言できる。それに戦前に中国からやってきた祖父を受け入れてくれた燕に大感謝。この地域の「人」に「気質」に「産業」に、全てに育ててもらった杭州飯店だよ。

チームC:近年のラーメンブームはどうですか?

3代目:お陰様で、県外からのお客様も飛躍的に増えたね。20年前とは全然違うよ。この地域に出かけてもらう理由の一つって言ってもらえると、少しは地域に恩返し出来たかなって思うよ。

チームC:そう言えば、イベントに出店しているイメージが無いのですが。

3代目:嬉しいことに、色々と声をかけてもらいます。ただ、自信をもってラーメンを提供するには、どうしても杭州飯店でしか出せないって思っちゃうんだよね(笑)。

チームC:3代目として店舗を拡大しようと考えたりしませんか?

3代目:今は無いですよ。やっぱり燕に育ててもらった杭州飯店ってことを大切に思ってる。杭州飯店にラーメンを食べに来てくれるお客さんに最高のラーメンを提供することで精一杯だよ。

チームC:そんなこと言って半年後に東京進出とか。

3代目:ガハハハハ。そんなことあったら、燕の街中から怒られるかな(笑)?

チームC:暖簾分けはされてますよね?

3代目:もちろん。現に暖簾分けした店舗は凄く頑張ってるよ。

チームC:暖簾分けには厳しい条件があるのですか?

3代目:何をもって厳しいと言うかはわからないが、まずはしっかりと修行して一人前の腕(技術)を身に付けること。そして何より大切なのは人間性かな。家族同様に付き合えること。もちろん独立後も、きちんと付き合える人間だって認めないとダメかな。

昼営業後は家族で餃子の仕込み

チームC:それはどんなビジネスにも大切なことですよね。

3代目:おっ、急に燕商工会議所青年部っぽいこと言うね。でもね、現在の暖簾分け店は、実質2代目の基で修業した店(人)なんだ。自分の基で修業し、独立して頑張る店(人)との出会いがあれば、良いなって強く思うな。

チームC:新型ウイルスの影響はありましたか?

3代目:やっぱり客足は減ってしまったよね。例年GWは県外客で賑わうんだけど、しょうがないよね。でもね、年末に注文が多い持ち帰りは増えたよね。知らなかったお客さんもいて驚いていたよ。ここでも持ち帰りをしてくれた多くの方は燕地域のお客さんだったよ。本当に感謝しかない。

チームC:今後のビジョンはありますか。

3代目:大それたビジョンなんてないけど、2つあるかな。1つ目は、杭州飯店は創業90年目を迎える。まずは100年! 生意気にも一世紀企業の仲間入りだね。そして今、息子が修業を始めたんだ。俺は、祖父母に小さい頃から「お前はラーメン屋になるんだぞ」って言われ続けて気づけばラーメン屋になってた。でもラーメン屋になってわかったことは、うんめぇラーメン食って満腹になると、人って笑顔になるんさ。4代目にしっかりと杭州飯店の「暖簾」と、燕への「感謝」と、俺の「想い」を引き継ぐことが、2つ目だね。

左から4代目 2代目 3代目

チームC:最後に我々「燕商工会議所青年部」に一言貰えますか?

3代目:皆さんは45歳以下の青年でまだまだ若い。これから燕を背負って立つ人材になって、是非とも燕をもっともっと発展させてください。そしてその先は燕を支える経済人になってください。一緒に頑張ろうや!

チームC:3代目、ごちそうさまでした。

企業情報

杭州飯店

燕市燕49-4 TEL0256-64-3770

定休日:月曜(祝日・お盆・年末年始など変更あり)

3代目社長 徐直幸

燕市生まれの燕市育ち。趣味:バイク(北海道ツーリング)

編集後記

今回の企業レポートはグルメリポートではなく、燕商工会議所青年部だからこその記事作りを心掛け、取材・編集を行いました。結果、一人の青年経済人として、書ききれないたくさんの学びがありました。事業継続や事業継承のヒントや、ラーメン(商品)に込められたモノづくりとコトづくり。ますます杭州飯店のファンになり、同時に燕に杭州飯店があることが自分の誇りになりました。

企業情報 COMPANY

杭州飯店

燕市燕49-4 TEL0256-64-3770 定休日:月曜(祝日・お盆・年末年始など変更あり) 3代目社長 徐直幸 燕市生まれの燕市育ち。趣味:バイク(北海道ツーリング)