企業レポート 株式会社エムテートリマツ

昔から洋食器や厨房用品の製造が盛んな燕市において、質の高い製品を国内のみならず海外へも広く流通させる産地に根差した卸や商社の存在が、ものづくり企業と両輪を成す形で地域の発展を支えてきた。

燕市で厨房用品の総合商社をうたう「株式会社エムテートリマツ」の鳥部一誠社長を取材した。

「株式会社エムテートリマツ」様、その歴史は戦前までさかのぼる。

  • 昭和12年、初代 鳥部 松治氏が個人卸商を始め、主に燕・三条地域の地場製品を行商する金物卸を商いとした
  • 昭和39年、「株式会社 鳥部製作所」として会社組織へ
  • 昭和46年、二代目 鳥部 勝敏社長就任。この頃より業務用厨房用品を会社の主力商品とする
  • 昭和50年、燕市物流センターへ進出
  • 平成2年、社名を現在の「株式会社 エムテートリマツ」に変更
  • 平成21年、三代目 鳥部 一誠社長就任
  • 平成29年、創業80周年を迎えるとともに次の100年も継続し続ける企業であることを見据えて新社屋建設・移転

金物卸から始まった商いは業務用厨房用品・給食関連備品等を扱う「厨房用品の総合商社」となり、現在はその他にも国内有数の金属加工技術により生産され、エムテートリマツ様が自信を持ってお勧めする商品を扱う“MTブランド”、海外のコストパフォーマンスに優れた製品を輸入販売する“MTIブランド”、この二つのオリジナルブランドを展開している。

この他にも厨房用品の別注加工や特注生産にも積極的に対応しており、売る「もの」が「製品」から「製造」に一部で変わってきているとのこと。また、時代を超えて愛されるロングセラー商品でも、その売り方「商流」については常に変化を意識しており、80年代中頃にはいち早く自社カタログを作成、90年代中頃には自らWindows95を叩いて自社のホームページを立ち上げたと聞き、時代の変化に対する鋭さと取り組みの早さに驚いた。

ECサイトでの販売も早くから積極的に取り組んでおり、国内のみならず海外へも出荷しているとのことで、鳥部社長が力を込めておっしゃる「変わり続ける必要」をまさに体現していると感じた。

経営理念の一つに「取引先良し」「世間良し」「会社良し」「従業員良し」の「四方良し」を掲げており、その中でも鳥部社長は「会社良し」「従業員良し」を重要視されているようだった。

“会社経営とは一部の経営トップのみで行うものではなく、全社員が関わるものだとの考えに基づき会社の組織をできるだけ細かく分割し、それぞれの組織の仕事の成果を分かりやすく示すことで全社員の経営参加を促す経営管理システムである”

京セラ名誉会長 稲盛和夫氏が提唱する「アメーバ経営」を実践することで、全社員に責任感や使命感が育ってきている。また、現場から上がってきた意見を社員同士がミーティングを開いて協議し、答えを出すことで、社内が「考える組織」になりつつあると手応えを感じているとのこと。

「持続可能という意味で燕市は危うい」

衝撃的なワードに一瞬耳を疑った。
現在、燕市には従業員20名以下の製造業、従業員5名以下の問屋が合わせて1,187社あり、そのうち531社が高齢化や後継者不在を理由に将来、廃業を表明している。
燕市は小規模な事業所が網の目のように連携しながら仕事をしており、一社の廃業は一社の問題に止まらず、地域産業にも大きく影響してくる。

世界的な潮流にもなりつつあるSDGsを自社だけではなく地域にも当てはめ、
“持続可能な地場産業”を目指して燕に仕事を呼び込む新たな「商流」作りに商工会議所を巻き込んで取り組んでいるとのことだった。

SDGs (エスディージーズ)「Sustainable Development Goals
(持続可能な開発目標)」の略称、国連が提唱する2030年までに達成すべき
国際目標

最後に青年部について尋ねた。

鳥部社長の弟で常務の鳥部周司氏が青年部に入会したことで、今まで知らなかった企業、知らなかった技術を知ることができ、新しい仕事の繋がりができた。
青年部はこれからを担う若い人同士の繋がりができる。
この価値をぜひ活かして欲しい、とのことだった。

コロナ禍の中にある現在、いろいろなものの価値観が変わっている中だからこそ信念を持ち続け、100年企業を目指して変わり続ける鳥部社長の姿勢に深く感銘を受けた。

企業情報 COMPANY

株式会社エムテートリマツ

業務用厨房用品の卸商社 所在地: 〒959-1271 新潟県燕市蔵関351 電話: 0256-63-2184